日本のヘビー級タイトルに2試合を終えた時点で難題がふりかかった。
対戦相手がいない……人材不足が早くもクローズアップされてしまったのだ。
56年ぶりに復活した日本ヘビー級タイトルの初防衛戦が25日、後楽園ホールで、王者、藤本京太郎(角海老)と、ランキング1位、竹原虎辰(緑ジム)の間で行われた。巨漢の竹原が、プレッシャーをかけて追う展開となったが、詰めてからの手数がない。京太郎は、序盤、逃げ腰だったが、3ラウンドに右のカウンターが当たって竹原の動きが止まると猛ラッシュ。竹原が、試合後、「あの連打だけは効いた」と言った場面だ。
■フットワークとスピードで圧倒
ヘビー級ながら、いかんせん迫力不足。KOにまで持ち込めなかったが、その後は巧みなステップワークとスピード感のあるコンビネーションブローを叩き込んで確実にポイントアウト。クリーンヒットを浴びるとクリンチに逃げて危機を脱出しながら3-0(96-94、97-94、97-93)の判定で初防衛を果たした。
控え室に帰った京太郎は「途中で(会場が)しらけたのがわかったけれど、今日は、クリンチしても何をしても勝利に徹した。判定でいいと思っていた。たくさんの人に応援してもらっているのに負けるわけにいかなかった」と、本音の弁。3ラウンドにダウンチャンスがあったのでは?と質問されたが、「ネコパンチでは、タフな相手は倒せないです」と笑いを誘った。
一方の35歳になる竹原は、8日から20日まで豪州でヘビー級クラスを相手にスパーを積んで試合に臨んだが、 試合後は、両目の上をカットしてしまう痛々しい顔。
「クリンチワークと足にやられた。こっちの左フックをブロックでなくウエービングで避けて、足を使われたので次のパンチに続かなかった」
■次の対戦相手がいない?
さて56年ぶりに復活した日本のヘビー級タイトル戦のレベルの問題を議論する前に、王座決定戦を含め2試合が終わった時点で、もう深刻な難題がふりかかってきた。王者、京太郎の次なる挑戦者が不在となったのだ。現在の日本ランカーは4人で、初代王座を争ったオケロ・ピーターは「いいオファーがあればやってもいいかな」と、半分引退状態。もう一人のランカー、橘高リオ(渥美)は、挑戦者決定戦で竹原に敗れているから、すぐに挑戦というわけにはいかないだろう。