コメの生産調整(減反)に参加した農家の所得を補償するため支給される定額の補助金について、政府が平成26年度から支給額を半減させる方向で調整に入ったことが2日、分かった。現在から5年後の30年度には、定額補助金と減反自体を廃止することも検討する。コメ農家の競争力を高めるのが狙いで、今月中にまとめる農業活性化策に盛り込むことを目指す。
減反への協力を条件にコメ農家に支払う補助金は、作付面積10アール当たり1万5千円の定額部分と、コメの販売価格が平年価格を下回った場合に差額を補う変動部分がある。
農林水産省は10月31日、自民党部会に、26年度から変動部分の補助金を全廃するとともに、定額部分も減額し、将来は支給をやめる案を示した。
政府は、定額補助金を現在の半分の7500円に減らし、5年後に撤廃する案を軸に検討を進めている。補助金と合わせて減反も廃止する。
補助金の支給には、コメ農家を減反に誘導する狙いがあった。一方、経済界を中心に、減反は農家の自由なコメ作りを妨げ農業の弱体化を招いたとの批判もある。
農水省は「農家が経営判断で需要に応じた生産ができるような環境を整える必要がある」とみている。
ただ、急激な政策転換には生産現場の混乱が懸念されるほか、与党や農業団体の強い反発も予想される。このため、政府は定額補助金を段階的に撤廃し、減反廃止までに一定の猶予期間を設けることで影響を緩和する考えだ。
一方で、減反を廃止すると多くの農家が主食用のコメを増産するようになり、価格が大幅下落する恐れがある。これを防ごうと、政府はコメ農家に主食用から家畜のエサに使う飼料用への転作を促す新しい補助金を導入することも検討する。飼料用の作付面積に応じて支払う現在の補助金(10アール当たり8万円)に、収穫量に応じて支給する仕組みを加える。
このほか、コメの価格下落による農家の収入減を補う保険制度の創設なども検討し、農政の大転換につなげる構えだ。