2014年1月24日金曜日

<都知事選>脱原発、主張に差 16人が届け出

23日に告示された東京都知事選は新人16人が立候補を届け出て
2月9日の投開票に向けた論戦がスタートした。安倍政権の原発政策への
是非を巡る有権者の判断が注目されるが、政党や党首が支援する主要
4候補の告示日の演説内容を分析すると、原発については半分近い時間を
使った候補から全く触れなかった候補まで大きな差が出た。
都政課題についても掲げたテーマはさまざまで、選挙戦初日から力の置き方
に違いが見えた。
原発問題に最も演説時間を使ったのは元首相の細川護熙(もりひろ)氏(76)。
「政府は最近、原発の再稼働という方向を打ち出した。
私はその話を聞いて、出馬しなければダメだと、強い気持ちになった」と述べ
「原発即ゼロで、日本の新しい未来を築く」と訴えた。
逆に元航空幕僚長の田母神(たもがみ)俊雄氏(65)は原発推進の立場で
他候補との違いをアピール。脱原発を進めるドイツでも原発が稼働している
状況を説明し「原発を使わないで景気回復することは難しい。安全を徹底的に
管理しながら使っていくしかない」と主張した。

 前日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏(67)も脱原発に多く触れ「新潟県
の泉田(裕彦)知事と連携しながら、柏崎刈羽原発の廃炉を進めていく」と
主張した。ただ第一声で真っ先に挙げたのは福祉の充実で、そのほか安倍
政権批判、防災、五輪など演説内容が幅広く、原発問題に触れた時間は細川
田母神両氏より短かった。

 一方、元厚生労働相の舛添要一氏(65)は計7カ所で街頭演説をしたが、
原発などエネルギー政策に一切言及しなかった。
応援でマイクを握った国会議員が「原発問題だけやっていて、地域の問題は
誰が解決するのか」と争点の単純化を批判した。

 原発以外の政策では、田母神氏が「子供の数に応じた家賃補助を導入する」
などと少子高齢化対策の推進を強調。
演説時間の約3割を五輪に費やした舛添氏は「史上最高の東京オリンピック
パラリンピックを成功させたい」と訴えた。
さらに吉祥寺駅前(武蔵野市)では「多摩地域に(五輪に参加する)各国の
キャンプ場を設けたい」と述べるなど、場所に合わせて内容にメリハリを付けた。

 細川氏は「抽象的」と前置きした上で日本人の価値観や平和の問題に触れ
「経済成長至上主義で日本という国はやっていけるのか。
とても無理だと思う。ゆとりを持って過ごせる東京を作れないものか」と訴えた。
宇都宮氏は聴衆の質問に答える対話式の演説も行い「私は都知事になっても
都庁舎に閉じこもっていない。
都民の中に飛び込み、声に耳を傾けて都政に反映させたい」と語った。