冷凍食品に農薬が混入された事件で、逮捕された契約社員の男が
「自宅にあった農薬を薄めて使用した」という供述を始めたことが分かりました。
阿部利樹容疑者(49)は27日、太田警察署を後にして前橋地方検察庁へと
身柄を送られました。その際、阿部容疑者はワゴン車の一番後ろに乗せられ
両隣を警察官に挟まれていましたが、前にうなだれるように突っ伏していて、
その表情をうかがうことはできませんでした。
阿部容疑者は、これまでの取り調べに対し、「覚えていない」と容疑を否認
していましたが、捜査関係者への取材で、「自宅にあったマラチオンを含む
溶液を薄めて使用した」と事件への関与をほのめかす供述を始めたことが
新たに分かりました。さらに阿部容疑者の自宅からは、マラチオンを含む液体
の農薬が見つかっていたことも新たに分かり、警察は、周辺の店の防犯カメラ
を解析するなどして、入手先の特定を急いでいます。
また、阿部容疑者が事件前、会社に対して待遇の不満を訴えていたことも
分かりました。阿部容疑者は、同僚らに「こんなに長期間働いているのに、
なんで給料が安くなるんだ」「後から入ってきた人のほうが給料が良い」などと
頻繁に不満を訴えていて、警察は、犯行の動機につながった可能性もあると
みています。
一方で、混入の具体的な方法や場所などについては、「覚えていない」と繰り
返しているということです。
警察は今後、こうした点についても詳しく調べ、事件の全容解明を進めていく
方針です。